A. 動物の体にある細胞は、もとになる細胞からいろいろな器官や臓器を形成する細胞に変化します。
この変化を「分化」するといい、このもとになる細胞が幹細胞です。
もともと骨髄や脂肪組織に含まれる幹細胞は、筋肉、心筋、血管、骨、軟骨に分化することが知られています。
いわゆるiPS細胞やES細胞のような万能細胞とは異なり、分化する細胞が限られているのが特徴です。
Q. 幹細胞療法ってなに?
A. 病気のイヌやネコから脂肪組織や骨髄液を少しだけとり、そこから増殖させた幹細胞を用いて、ダメージを受けた患者の細胞や組織を修復したり再生したりする治療法を指します。
その際用いる幹細胞は、血液中に投与される場合もありますし、患部に直接移植される場合もあります。
Q. どのような病気に効果があるの?
A. 幹細胞は、骨折癒合不全や脊髄損傷、また炎症性の関節炎で治療の研究が進められています。
骨折癒合不全では、幹細胞が骨の周囲にある骨膜(こつまく)や、骨細胞、また栄養を運ぶ血管に分化することで骨折部位を修復していくと考えられています。
また、脊髄損傷では、幹細胞が血管へと分化し、損傷部位の血流を回復することで、神経細胞の伸長を補助したり、脊髄全体の再形成を促すと考えられています。
関節炎では、幹細胞は関節に新たな軟骨や骨膜を形成させ、痛みを和らげたり、炎症を回復させると考えられています。
Q. どうやって脂肪や骨髄をとるの?
A. 脂肪をとるときは局所麻酔(全身麻酔の場合もあります)を行い、パチンコ玉程度の大きさをとります。
骨髄液をとるときは、全身麻酔を行い、少量の骨髄液を採取します。